スタンレーレディスホンダトーナメント2025
プロローグ:静岡の朝、霧の中で見た「強さの形」
こんにちは、りなです☀️
地元・静岡で開催された「スタンレーレディスホンダトーナメント2025」。
朝、裾野市の空気はひんやりとしていて、コース一面を包む霧が、まるで静寂そのものを表していました。
スタート時間は、濃霧のために何度も遅延。
選手たちの表情には不安や焦りも見えました。
けれど、その中でただひとり、静かに穏やかな笑みを浮かべていた選手がいました。
──河本結(かわもと ゆい)選手。
濃霧の中、彼女は静かにスイングを始めた。
彼女の姿を見た瞬間、りなは思いました。
「この人、今日勝つな」って。
何かに守られているような、強くて優しい空気。
その“静けさの中の強さ”が、最終日の全てを語っていたのかもしれません。
大会レポート:濃霧、遅延、そして9ホール決戦
この日のスタートは、まさかの4時間遅れ。
9ホールの短縮競技という異例の形で行われた決勝ラウンド。
「あなたなら最終日の霧の中でどう心を整えますか?」
上位との差はわずか1打。
誰もが一発逆転を狙う混戦の中で、河本選手はただひとり、焦ることなく自分のリズムを貫いていました。
1番ホール、ティーショットをフェアウェイど真ん中。
セカンドをピン左2メートルにつけ、静かにバーディ。
雨に濡れた空気の中、ふっと右手を上げてギャラリーに微笑んだその表情が忘れられません。
そして9番でも、ピン上2メートルにピタリ。
淡々と、しかし完璧に。
誰よりも冷静に「勝ち切る」プレーを続けていました。
試合後、彼女はこう話していました。
「ホール数が減っても、やることは変わりません。いつも通り、目の前の1打に集中するだけです。」
この“いつも通り”を貫けること。
それがどれほど難しいことか、ゴルフをする人なら誰でも分かるはずです。
心の習慣:「無の世界」で戦うゴルファーのメンタル術
河本選手がいま最も大切にしているキーワード。
それが「無の世界」。
余計な感情を削ぎ落とし、
勝ちたい、上手く見せたいという欲も手放し、
ただ一球に向き合う。
彼女は試合の中でもリーダーボードを見ません。
代わりに、前の組から聞こえる歓声でスコアの流れを“感じる”。
「スコアを追いかけすぎると、心が乱れるから。」
そう微笑みながら語る姿には、
かつての“結果に焦る自分”を乗り越えた穏やかさがありました。
ゴルフは心のスポーツ。
そして、心を整えられる人が最後に勝つ。
河本結はそれを“実践で証明する人”です。
読書が支えたメンタル:年間60冊の哲学
河本選手の強さを語るうえで欠かせないのが「読書」。
年間60冊という目標を掲げ、
待機時間にも本を開き、言葉の力で自分を整える。
この日、霧でスタートが遅れた時も、
彼女は車の中で短く眠り、そのあと読んでいたのが――
ベストセラー『エッセンシャル思考』。
「何かを選ぶには、何かを捨てる勇気が必要。」
その言葉どおり、
河本選手は迷いを捨て、必要なものだけを残してきた。
結果よりも、自分の“心の状態”を優先する。
そんな成熟した考え方が、彼女をより強く、美しくしているのです。
経歴と歩み:愛媛から世界へ
河本結選手は1998年8月29日生まれ。
愛媛県松山市出身。
5歳でゴルフを始めたきっかけはお父さん。
そして弟の河本力(りき)選手も現在プロとして活躍しています。
高校時代から全国で名を轟かせ、
日本体育大学を卒業後、2018年にプロテスト合格。
そのわずか翌年、2019年「アクサレディス」でツアー初優勝🏆
その後、米国ツアーに挑戦。
環境の違いや孤独とも戦いながらも、「海外での経験が自分を広げてくれた」と振り返ります。
2021年に日本へ戻ると、心の強さが一段と増し、
2024〜2025年シーズンでは再び優勝を重ねるまでに。
彼女の言葉で印象的だったのが、
「復活じゃなくて“誕生”です。」
挫折ではなく“成長”。
ブランクではなく“再出発”。
その考え方こそが、彼女の本当の魅力です。
ファッションとセルフプロデュース:赤いリボンの哲学
河本選手といえば、キャロウェイのウェアがよく似合う✨
女性らしいやわらかさの中に、勝負師の凛とした美しさがある。
特に最終日、髪に結ぶ「赤いリボン」。
これはタイガー・ウッズの“赤”へのオマージュ。
「最後まで全力で戦う自分の象徴」だそうです。
大会ごとにウェアのテーマカラーを変え、
観客に「今日はどんなコーデだろう?」と思ってもらえるように意識。
その姿勢には“見られるプロ”としての自覚があふれています。
りなは思うんです。
ファッションにこだわる人は、心の整理も上手。
だからこそ、彼女は常に余裕のある笑顔を見せられるんだって。
私生活と素顔:丁寧に生きるということ
オフの日は映画を観たり、カラオケをしたり。
好きな色はピンクで、
自分のテンションを上げたい時は、ピンクのアクセやウェアを選ぶのだそうです💗
ヨガや茶道にも興味があり、
「自分を整える時間がゴルフを変える」と語る姿は本当に印象的。
家族との時間も大切にしていて、
地元・愛媛に帰ると必ずおじいちゃんのお墓参りをするんですって。
自然と海が大好きで、リセットしたい時は海辺を散歩するそう。
そんな日常の過ごし方が、
コースでの穏やかな表情や、ゆるがないスイングに表れています。
技術と戦略:フェアウェイを支配する思考
河本選手のゴルフは“美しい”のひとこと。
ドライバーの精度が高く、
フェアウェイキープ率はツアー上位。
特にアイアンの切れ味とパッティングの安定感が際立っています。
ただ、彼女が本当にすごいのは「頭の中」。
ショットの前に何度も深呼吸し、風の音、芝の匂い、すべてを感じながら構える。
「環境と会話するゴルフ」と呼びたくなるほど、自然体なんです。
ミスしても感情を出さない。
沈黙の中で立て直す。
その姿に、りなも学ぶことがたくさんあります。
名言と哲学:「勝つよりも、自分を整えること」
試合後のインタビューで、河本選手はこんな言葉を残しました。
「今振り返ると、あの緊張感の中でも不思議と心が波立たなかったんです。
緊張しなくなった自分がちょっと怖いくらいでした(笑)」
この言葉に、彼女の“成熟”が詰まっている気がします。
結果よりも、自分の心をどう整えるか。
誰かに勝つためではなく、自分を磨くために努力する。
それが、河本結という人の哲学です。
今後への展望:年間女王へ、黄金世代の中心へ
この優勝で、メルセデス・ランキングは3位。
彼女の目標は明確です。
「リコーカップで優勝して年間女王になるイメージはできています。」
あの笑顔の奥にある強い意志。
“勝ちたい”よりも、“挑み続けたい”。
そんな姿勢が、黄金世代の中でも彼女を特別な存在にしています。
🕊️ エピローグ:読書の秋に咲いた静かな花
濃霧の中で始まり、静寂の中で終わった最終日。
拍手が響くその瞬間、河本選手は深く一礼しました。
派手なガッツポーズもなく、
ただ静かに、凛と。
その姿は、まるで1冊の本を読み終えたあとのような余韻を残しました。
「努力」と「知性」と「美しさ」。
それを全部、静かに持っている人。
──それが河本結。
りなは、彼女のゴルフに“品のある強さ”を見ました。
そして同じ女性として、心から憧れます。

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